西澤諭志 個展「1日外出券」
会期:2025/2/2(日)-2/16(日)
会場:YAU STUDIO (千代田区丸の内3-1-1 国際ビル7階)
時間: 13:00-21:00(イベントがある際は鑑賞しづらい場合があります)
本展は写真家・西澤諭志(1983〜)による3年ぶりの個展です。YAU STUDIOという会場の特性を活かしながら、新作の写真に加え、映像作品も展示予定です。
西澤が労働を抜け出して向かう先ーー彼がいうところの「上書きされた土地」には、往々にして記憶や情報を伝達する技術がつまっています。いわゆる資料館、文化施設、モニュメントは、時として過剰な予算が投入されたものの空回りしていたり、素寒貧であるがゆえに工夫が凝らされていたりして、独自の滑稽さを帯びています。不相応な装置にせよ、手作り感あふれる掲示物にせよ、そこには何かを伝えようとする意志があり、こうなるに至った経緯があります。
真剣であることと奇妙であることは両立します。いかがわしいがゆえに、心が動いてしまうこともありえます。展示される写真や映像は、西澤自身がそこに外出し、反応し、撮影してきたものです。本展の賭け金は、この当たり前さに驚くところに置かれています。西澤の写真には、「上書きされた土地」をめくっていく醍醐味に加えて、労働と外出を繰り返す者たちの悦びと臭気が満ちているのです。
2/2(日)17:00-21:00にはオープニングがございます。どなた様でもお越しください。
◾️会期中トークイベント
(写真の話を存分にするべく集まっていただいたメンバーです)
外出録① 伊藤貴弘(東京都写真美術館学芸員)×黑田菜月(写真家)×西澤諭志
2025/2/7(金) 18:30-20:00
登壇者プロフィール
・伊藤貴弘(東京都写真美術館 学芸員)
1986年東京生まれ。2013年より東京都写真美術館に学芸員として勤務。主な企画展に「アレック・ソス 部屋についての部屋」展、「即興 ホンマタカシ」展、「松江泰治 マキエタCC」展、「琉球弧の写真」展、「写真とファッション 90年代以降の関係性を探る」展、「小さいながらもたしかなこと 日本の新進作家 vol. 15」展、「長島有里枝 そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」展、「いま、ここにいる―平成をスクロールする 春期」展など。女子美術大学非常勤講師。
・黑田菜月(写真家)
1988年神奈川生まれ。2013年8回写真「1_WALL」にてグランプリを受賞。
主な展覧会に、2014 「けはいをひめてる」(ガーディアン・ガーデン / 東京)、2017 「私の腕を掴む人」(ニコンサロン / 東京)、2021「αMプロジェクト2020–2021『約束の凝集』vol. 3 黑田菜月|写真が始まる」gallery αM(東京)2023年「つくりかけラボ13 『野鳥観察日和』」(千葉市美術館 / 千葉)などがある。
外出録② 青柳菜摘(アーティスト、詩人)×若山満大東京ステーションギャラリー学芸員)×西澤諭志
2025/2/11(火・祝) 18:30-20:00
登壇者プロフィール
・青柳菜摘(アーティスト、詩人)
1990年東京都生まれ。映像メディアを用いた同時代芸術のアーティストとして、フィールドワークやリサーチをもとに、プロジェクトベースに主題を立て作品を発表している。近年の活動に個展「亡船記」(十和田市現代美術館サテライト会場 space, 2022)、「ICC アニュアル2024 とても近い遠さ」展(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC], 2024)など。詩集『そだつのをやめる』(thoasa, 2022)が第28回中原中也賞受賞。コ本や honkbooks主宰。「だつお」というアーティスト名でも活動。
・若山満大(東京ステーションギャラリー学芸員)
研究分野は日本近代写真史。1920年代から1940年代にかけてのアマチュア写真文化の動向が主な関心領域。愛知県美術館、アーツ前橋などを経て現職。主な担当展に「生誕120年 安井仲治」(2024)、「甲斐荘楠音の全貌」(2023)、「鉄道と美術の150年」(2022)など
がある。編著書に『Photography? End? 7つのヴィジョンと7つの写真的経験』(2022)がある。
◾️各種イベントお申込
下記リンクからお申込くださいませ。https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfnaZ4pjb0l5tU2qCWM_f3gFLZaCEb8dsJZX1BCKJgLUMPvRQ/viewform
◾️作家プロフィール
西澤諭志 Satoshi Nishuzawa
写真家/映像作家 。1983年長野県生まれ。カメラで記録した身辺の映像から、細部の社会的、経済的な側面へも目を向ける為の作品を発表。 映像作家の鈴木光、石川翔平と、ジャンルの境界を越え国内外の映像作品を紹介する上映会「Experimental film culture in Japan」の主催にも携わる。主な展覧会に「クリテリウム98 西澤諭志」(水戸芸術館現代美術センター、2022)、「Parrhesia #013 西澤諭志[普通]ふれあい・復興・発揚」(TAPギャラリー、2018)、「西澤諭志展―写真/絶景 そこにあるもの―」(LIXIL Gallery2、2009)。主な上映会に「西澤諭志特集:ドキュメンタリーのハードコア」(UPLINK、2017)。
https://satoshinishizawa.com/
◾️SOUDAN(SNZ相談所)について
展覧会の始まる前から、そして終わった後も、さまざまな人との協働があります。まだ固まってないアイデアを口にしてみること、具体的な技術的相談、機材や場所や運搬手段の話、ちょっとした専門知の共有、プロジェクトへのお誘い、悩みの打ち明けーーこれらをひとまず「SOUDAN(相談)」といってみます。コロナ禍に立ち上がったSNZ相談所では、毎年YAUにて相談プログラムを実施していましたが、2024年度はメンバー内で深めたいことを掘り下げていく(アウトリーチならぬ)「インリーチ」を行っていました。そのなかで、黑田菜月が西澤を招く会を行い、参加者間で西澤の写真について存分に話しあう機会がありました。本展はそのやりとりから生まれた成果のひとつでもあります。
主催 YAU(有楽町アートアーバニズム)
企画 SNZ相談所(長谷川新、黑田菜月、森純平)
デザイン 熊谷篤史